土地の購入に際して気をつけたい事土地選びのポイント
土地を購入の際、何を基準にして選ぶのでしょうか?「陽当り」・「利便性」・「環境」・「価格」・「広さ」などの条件はよく言われる内容ですが、果たしてそれだけでしょうか?土地を買って家を建てる時は、総合予算がしっかりしていないと後悔してしまうことになります。見えない部分に予算を充当しなければならない場合もたくさんあるのです。
では、その見えない部分には何があるのか、ひとつひとつ考えてみましょう。
敷地のインフラ
給水設備・排水設備・電気設備・ガス設備 などはかかせない生活インフラです。これらがきちんと敷地に引き込まれているか、必ず事前に確認しましょう。
自分で工事を依頼するとなると、案外と費用がかかってしまう事があります。少し気をつけながら土地選びをすれば、余計な建設コストを省けるかもしれません。
更地の場合、電気の引き込みは行われていないのが一般的です。建物が完成したら、正式に引き込み工事を行います。近くに電柱があればさほど費用はかかりません。
敷地はいろいろな状況で見てみよう
「これは良さそうな土地だ」ということになると、実際に現地を見に行くというのは基本だと思いますが、たまたま天気のよい日中に一度見ただけで決めてしまってよいものでしょうか?
その他に例えば、
「夜」
「雨の日」
「風の強い日」
などのいろいろな状況で、その敷地や周辺がどうなのか一度確認しておくと、「晴れた昼間」に訪れた時には気がつかなかった事があるかもしれません。
- 駅からの道のりは、一人歩きでも安全そうですか?
- 夜の街灯は明るいですか?
- 夜は静かですか?
- 雨の日の水はけは良さそうですか?
古家の撤去
古屋がある場合、まず古家の撤去費用がかかります。この撤去は購入者側で行なう場合が多いようです。古屋の内容により解体撤去の費用は異なりますので、事前に予算を確認しておく事がポイントです。
当社では、新築工事・リフォーム工事の他、古家の撤去工事もお受けできます。見積もりなど、ぜひご相談ください。
敷地の立地条件
実際に建築工事を行う立場から見ると、どうしても工事費が余計にかかってしまいそうな極端な立地条件というのが、正直なところあります。
その極端な条件により工事の難易度が上がってしまうと、工事費に影響する事もあるのです。
少し気をつけながら土地選びをすれば、余計な建設コストを省けるかもしれません。
- 前面道路の幅が極端に狭い(工事用車両の進入が容易でないと、運搬作業が大変です)
- 敷地が道路より極端に高い/低い(極端な高低差があると、資材の上げ下ろしが大変です)
- 上棟の際に登場するクレーン車が近づけない(道路幅や電柱などの位置によりクレーン車の使用が不可能な場合、人による材料運搬が必要となり運搬作業が大変です)
- 工事用車両の駐車スペースや資材置き場は工事中にどうしても必要なものですが、これらが確保できないと、やはり運搬作業が大変です。
外構工事の検討
建物以外にも、駐車場、庭、玄関付近の門、敷地周囲のブロック・フェンスなどの外構工事に、少なからず費用がかかってしまいます。
豪華にするには上限は無いのかも知れませんが、やりたい事のイメージがいくらぐらいの予算となるのか?、道路と土地の高低差のあるなどの場合は駐車場の造成にどのくらい費用がかかりそうか、などのアドバイスを専門家から貰っておくこともポイントです。
当社では、建築工事の他にも外構工事だけの依頼もお受けする事ができます。ぜひご相談ください。
地盤の強さは
「地盤が良い/悪い」という言い方がありますが、地盤の強さはいろいろな要素の複合要因で判断されなければなりません。
土の表面だけを見たり、スコップで数十cm掘ったりしただけで判断することは不可能で、そのずっと下の方の地層が問題なのです。
地盤が悪ければ、基礎工事などにお金がかかる事がありますが、地盤が良ければその必要がありません。「敷地の地盤」は、建物の建設コストととても関係があります。
■ 建築工事を行う前には必ず「地盤調査」を行いましょう。その検査結果がない限り、地盤が良いとか悪いなどの判断ができません。住宅用の敷地で地盤調査を行う場合、「スウェーデン式サウンディング(SS)」という方法がコストが比較的安く一般的です。
当社では、地盤調査だけの依頼もお受けできます。ぜひご相談ください。
■ 土地購入の契約前に、不動産屋さんが地盤調査の結果を見せたり、お客さんに現場の地盤調査を許可する事は少ないようです。決断の前に誰かに相談したい時、当社にぜひご相談ください。
- 土質
- おおまかに「粘土質」と「砂質」に分けて扱われる事がありますが、実際は粒子の大きさにより細かな区分がされています。
粘土 < シルト < 砂 < 礫 (れき) < 石 < 岩
それぞれに特徴がありますが、これらが複数種類混ざっている場合もあります。
- おおざっぱな特徴としては、「粘土質」の地盤は建物の重量によってゆっくりと沈下が進む「圧密沈下」が起きる可能性があり、「砂質」の地盤は地震などの際に「液状化」が起きて建物が沈下してしまう可能性があります。建設用地の地盤として理想的なのは、固くて大きく動かない「岩盤」ですが、関東地方の場合、岩盤は数千mもの地下にあります。
- 関東一円を覆っている「関東ローム層」は、岩盤の上に火山灰が積もって粘土質の地層となったもので、決して固い地盤ではありません。
- おおまかに「粘土質」と「砂質」に分けて扱われる事がありますが、実際は粒子の大きさにより細かな区分がされています。
- 地耐力
- 地盤調査により数値で表されます。深さによって数値が高くなったり、低くなったりする事があり、そのバラツキ具合は基礎設計の際に重要な検討材料となります。同じ地耐力(数値)が出ている場合でも、土質が「粘土質」なのか「砂質土」なのかにより、対策が変わる事があります。
一般に「地下水位」は低い程良いとされています。地下水位が高いと水はけが悪く、湿気に悩まされる可能性が高くなるだけでなく、コンクリート基礎の設計に影響が出る事があります。また、地盤改良工事の必要性が高まり、工事費増加を招く原因になりかねません。
- 地盤調査により数値で表されます。深さによって数値が高くなったり、低くなったりする事があり、そのバラツキ具合は基礎設計の際に重要な検討材料となります。同じ地耐力(数値)が出ている場合でも、土質が「粘土質」なのか「砂質土」なのかにより、対策が変わる事があります。
- 造成の有無と時期
- もともと造成地は、「切土」(山を削っている)、あるいは「盛土」を行って地盤面の調整を行っています。盛土が行われている地盤は地耐力があまり出ないだけでなく沈下の可能性も高く、注意が必要な地盤と言えます。
これについては、次ページの「土地の購入に際して気をつけたい事─3(造成地の話)」で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
- もともと造成地は、「切土」(山を削っている)、あるいは「盛土」を行って地盤面の調整を行っています。盛土が行われている地盤は地耐力があまり出ないだけでなく沈下の可能性も高く、注意が必要な地盤と言えます。
- 昔の利用のされ方(水田・畑)
- 昔は水田だったという場合、表土近くの層で地耐力が低くなっている場合があります。また通常、水田は道路面より低いことが多いので、宅地とするには盛土が必要となるケースがありますが、盛土の深さが1mを超える場合は注意が必要です。
- 畑の場合は耕されていた事により、深さ数10cm~数m程度掘り返されています。一度掘り返された地盤は強度が落ちているので注意が必要です。
- 昔は水田だったという場合、表土近くの層で地耐力が低くなっている場合があります。また通常、水田は道路面より低いことが多いので、宅地とするには盛土が必要となるケースがありますが、盛土の深さが1mを超える場合は注意が必要です。
- 周辺状況・過去の災害
- 周辺は平らな土地か、傾斜地か、周辺に大きな崖等があるか など敷地周辺の地形をチェックをした方が良いでしょう(崖崩れの恐れがないか)。
- 近くに川がある場合、近年洪水被害が起こっていないかどうか、強風・台風の被害が多発していないか など、自然災害の恐れがないかチェックした方が良いでしょう。
- ガラや産業廃棄物などが埋められていないか。
- 周辺は平らな土地か、傾斜地か、周辺に大きな崖等があるか など敷地周辺の地形をチェックをした方が良いでしょう(崖崩れの恐れがないか)。
- 地名
- 地名に「川」「河」「岸」「瀬」「沼」「池」「谷」など、水に関わる漢字や使われている所は地盤が悪い傾向にある、と言うのが良く知られています。井戸水のおいしい所も地盤が悪い傾向があるという話もあります。 造成工事が行なわれて地名が変わってしまった所はこの限りではありません。
- 地名に「川」「河」「岸」「瀬」「沼」「池」「谷」など、水に関わる漢字や使われている所は地盤が悪い傾向にある、と言うのが良く知られています。井戸水のおいしい所も地盤が悪い傾向があるという話もあります。 造成工事が行なわれて地名が変わってしまった所はこの限りではありません。
以上は、決して「このような土地はやめましょう」と言っている訳ではありません。絶対に家が建てられないわけではありませんし、100%満足できる土地に必ず巡り会えるとは限らないのですから。「このような良くない条件はあるけど、ここがとても気に入った」という事も多くあると思います。その時は適切な対応策を考えれば良いわけです。
どのような対応策が適切なのか、それはケース・バイ・ケースで一概には言えません。専門家に相談するのがやはり良いでしょう。